「うちの子、すぐ諦めてしまって…」
・少し難しくなると投げ出す
・続けて練習しない
・「もう無理」「できない」が早い
こんな姿を見ると、
「根気が足りないのかな」
「このままで大丈夫かな」
と、親として不安になりますよね。
とくに、
頑張ってほしい気持ちが強い親ほど、心が揺れやすいテーマです。
でも、ここで一つ、
ぜひ知っておいてほしいことがあります。
諦めやすさは「性格」ではなく「脳の仕組み」
人が「もう少しやってみよう」と思えるかどうかは、
気合いや性格ではなく、
脳の中の“報酬システム”に大きく左右されています。
その中心にあるのが、
【ドーパミン】です。
ドーパミンは、
「楽しい!」という単純な快感だけでなく、
・できた実感を得たとき
・前より少し良くなったとき
・先が見えたとき
に分泌され、
行動を“続けさせるエネルギー”になります。
逆に言うと、
ドーパミンが出にくい状況では、
どんな子でも続きません。
つまり、
諦めやすさは意志の問題ではなく、設計の問題なのです。
すぐ諦める子の脳内で起きていること
諦めやすい子の多くは、
実は「何も感じていない」わけではありません。
むしろ、
・頑張っているのに報われない
・どこまでやればいいか分からない
・「まだできない」が頭に残る
そんな状態が続き、
脳がこう判断してしまいます。
「この行動は、エネルギーの無駄かもしれない」
これは怠けでも逃げでもなく、
脳の自然な自己防衛反応です。
親が思う以上に、
子どもは「できない自分」を感じ取っています。
親ができるのは「やる気を出させる」ことではない
ここで多くの親がやってしまうのが、
・「頑張ればできるでしょ」
・「最後までやりなさい」
・「みんなできてるよ」
という声かけ。
悪気はありません。
むしろ、愛情から出た言葉です。
ただ、脳の視点で見ると、
これは報酬が遠のく関わり方になりやすいのです。
大切なのは、
子どもを動かすことではなく、
「続けたくなる回路」を整えること。
今日からできる家庭での3つの工夫
① ゴールを「異常に小さくする」
多くの家庭では、
ゴールが“親目線”になりがちです。
×「ここまで全部やろう」
×「最後まで集中しよう」
これを、
成功が確実なサイズまで分解します。
〇「まず1問だけ」
〇「1分やったら一旦OK」
脳は、
「できた」という事実があるだけで、
次に進む準備を始めます。
小さすぎるゴールは、
甘やかしではありません。
脳科学的に、最短ルートです。
② 結果ではなく「変化」を言葉にする
「正解だったね」
「全部できたね」
これも悪くはありませんが、
毎回それを求めると、
結果が出ない日は報酬がゼロになります。
おすすめは、
変化を一緒に見つける声かけです。
・「さっきより早くなったね」
・「前はここで止まってたよね」
・「考える時間、短くなったね」
この「前との比較」が、
ドーパミンを一番安定して出してくれます。
③ 諦めた瞬間を「失敗」にしない
途中でやめたとき、
親の一言で記憶の残り方が変わります。
「また途中でやめたの?」
ではなく、
「今日はここまでできたね」
「続きはまたでいいよ」
こう終われると、
脳は
「やめた=嫌な体験」
になりません。
“続けられる子”は、やめ方が上手な子でもあります。
学校現場でも感じてきたこと
学校でも、
粘り強い子は特別な才能があるわけではありません。
・小さな達成を何度も経験している
・「今日はここまで」で安心できる
・できない時間が怖くない
そんな経験を積んできた子ほど、
結果的に続ける力が育っています。
まとめ:続かなかった理由が、少し見えてきたら
すぐ諦める姿を見ると、
親はどうしても
「性格の問題なのかな」
「意志が弱いのかな」
と考えてしまいがちです。
でも、脳の仕組みという視点で見てみると、
続かなかった理由は、
少し違うところにあったのかもしれません。
それは、
努力が足りなかったからでも、
育て方を間違えたからでもなく、
報酬がうまく届いていなかったという可能性です。
ゴールの置き方を調整し、
変化を言葉にする。
それだけで、
「やってみよう」と感じる回路は、
少しずつつながっていきます。
大きく変えなくても大丈夫。
理由が見えてきただけで、
関わり方は、自然と変わっていきます。
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