「朝ごはん、しっかり食べてよ~!」
朝、子どもに何度も声をかけているのに、なかなか食べようとしない。
少し口にしただけで「もういらない」と言ったり、食卓に座っていてもぼんやりしていたり。
登校時間は迫っているし、親としては栄養面も心配になりますよね。
「朝ごはんを食べないと、学校で集中できないんじゃないかな」
「成長期なのに、こんなに少なくて大丈夫?」
「どうしたら、きちんと食べてくれるんだろう」
そんな不安から、つい「もう少し食べなさい」と言いたくなることもあると思います。
もちろん、朝ごはんは子どもの成長や健康を支える大切な食事です。
ただ、朝ごはんを食べない理由は、単純に好き嫌いやわがままだけとは限りません。
起きる時間、前日の夕食、睡眠、朝の忙しさなど、生活全体が関係していることもあります。
今回は、元小中学校教員として子どもたちと関わってきた経験も踏まえながら、小学生が朝ごはんを食べない理由と、無理なく朝の生活を整える工夫を紹介します。
小学生が朝ごはんを食べないのはなぜ?
朝ごはんを食べない子どもには、いくつかの理由が考えられます。
① 起きる時間が遅く、食べる余裕がない
朝、目が覚めてから家を出るまでの時間が短いと、食事をする余裕がなくなってしまいます。
起きてすぐに着替え、顔を洗い、学校の準備をして……。
気が付けば、もう出発する時間。
子ども自身も、食べたくないというより、食べる時間が十分にないのかもしれません。
農林水産省が紹介している子どもの朝食に関する資料でも、朝食を食べない理由として「食べる時間がない」「食欲がない」などが挙げられています。
朝ごはんの問題に見えても、実は起床時間や朝の準備の問題であることもあります。
② 前日の夕食や間食の時間が遅い
前日の夜、夕食を遅い時間に食べていたり、寝る前におやつを食べたりしていませんか?
夜遅くまで食べていると、朝になってもお腹がすいていないことがあります。
例えば、
-
夕食の時間が遅くなっている
-
夕食後にお菓子を食べている
-
寝る直前まで何かを口にしている
こうした習慣が続いている場合は、朝食の量だけでなく、前日の食事の時間も振り返ってみたいです。
朝ごはんを食べられるようにするためには、前日の夜からの生活リズムも関係しています。
③ 朝はまだ食欲が出ていない
大人でも、起きてすぐに食事をするのが苦手な人がいるように、
子どもにも、朝起きてすぐには食欲が出にくい子がいます。
体がまだ活動モードに切り替わっていないと、食卓に座っても食べる気持ちになれないことがあります。
そんな子に、いきなり一人前の朝食を食べるように求めても、負担になってしまうかもしれません。
まずは、少し早く起きて身支度を済ませるなど、食事までにゆとりをつくることから考えてみるのも一つです。
④ 食べられる量や好みが変わっている
以前はよく食べていたのに、最近は朝ごはんを残すようになった。
そんな変化が見られることもあります。
成長とともに食べる量や好みが変わることもありますし、その日の体調や気分によって食欲に差が出ることもあります。
「前はこれくらい食べられたのに」と、以前の量を基準にしてしまうと、子どもにとっては負担になる場合があります。
今の子どもが食べられる量を見ながら、少しずつ調整していくことも大切です。
⑤ 朝の支度に追われて落ち着いて食べられない
朝の食卓が、いつも慌ただしくなっていませんか?
「早く食べて!」
「着替えたの?」
「もう時間がないよ!」
そんな声が飛び交う中では、子どもも落ち着いて食事をすることが難しくなります。
食べることよりも、親に急かされないようにすることや、次の行動に気持ちが向いてしまうこともあります。
朝ごはんを食べない背景には、食事そのものではなく、朝の慌ただしさが隠れていることもあります。
学校現場で見てきた「朝ごはん」と子どもの様子
小中学校で担任をしていた頃、朝食を食べてこなかった子どもたちの中には、午前中にぼんやりしていたり、いつもより元気がなかったりする姿が見られることがありました。
また、「お腹が痛い」「なんとなく調子が悪い」と保健室に来る子もいました。
もちろん、こうした様子の原因が朝食だけにあるとは限りません。睡眠不足や体調、その日の気持ちなど、さまざまな要因が関係しています。
ただ、毎日子どもたちと接する中で感じていたのは、学習に向かう集中力や気持ちの安定には、授業の内容や本人の努力だけでなく、毎日の生活習慣も関係しているということです。
朝の時間を慌ただしく過ごしていると、朝食を食べる余裕がなくなってしまうこともあります。
だからこそ、最初から栄養バランスの整った朝食を完璧に用意しようとしなくても大丈夫。
まずは、子どもが無理なく食べられるものや量から考えていくことが大切です。
朝食を食べることを、親子の新たなストレスにしないこと。
その子の生活リズムや食欲に合わせながら、少しずつ朝の習慣を整えていきたいです。
朝ごはんを食べない子に、家庭でできる5つの工夫
では、どうすれば朝ごはんを食べやすくなるのでしょうか。
大切なのは、食べる量を増やそうとする前に、食べられる環境を整えることです。
① まずは起きる時間を少し早めてみる
朝ごはんを食べる時間がない場合は、起床時間を見直してみます。
いきなり30分早く起こす必要はありません。
まずは5分、10分と、少しずつ朝の時間に余裕をつくってみる。
朝の準備を前日の夜に済ませておくことも効果的です。
例えば、
-
ランドセルの中身を確認する
-
翌日の服を準備する
-
学校に持っていくものをそろえる
こうしたことを前日に済ませておくだけでも、朝の慌ただしさは変わってきます。
食事の時間を確保するために、朝の行動全体を見直してみましょう。
② 前日の夕食やおやつの時間を整える
朝の食欲が出にくい場合は、前日の食事の時間も確認したいです。
夕食が遅くなりすぎていないか、寝る前に間食をしていないか。
生活リズムに合わせて、無理のない範囲で調整していきます。
ただし、夕食を無理に早めたり、おやつを一切禁止したりする必要はありません。
まずは、夜の食事と睡眠の時間が大きくずれていないかを確認することから始めてみましょう。
③ 朝食は少量から始めてみる
朝からたくさん食べることが難しい子には、食べられる量から始める方法もあります。
例えば、
-
小さめのおにぎり
-
バナナ
-
ヨーグルト
-
食べやすいパン
-
スープやみそ汁
など、子どもが食べやすいものを取り入れてみましょう。
最初から栄養バランスの整った一人前を目指さなくても大丈夫です。
少しずつ食べる習慣をつくり、食べられるものや量を広げていくこともできます。
④ 子どもが食べやすいものを一緒に考える
朝ごはんのメニューを、いつも大人が決めていませんか?
ときには、子どもに聞いてみるのも手です。
「朝は何なら食べやすそう?」
「ごはんとパンなら、どっちがいい?」
自分で選ぶ機会があると、食事への抵抗感が少なくなることもあります。
もちろん、毎回子どもの希望どおりにする必要はありません。
大切なのは、食べることを一方的に押し付けるのではなく、子ども自身も朝食づくりに関われるようにすることです。
⑤ 朝の食卓に、少しだけゆとりをつくる
朝ごはんを食べる時間は、栄養を補給するだけの時間ではありません。
家族と顔を合わせたり、今日の予定を話したりする時間にもなります。
毎朝ゆっくり食卓を囲むことが難しくても、数分だけでも落ち着いて食べられる時間をつくれたら十分です。
「早く食べなさい」と繰り返すよりも、親子で気持ちよく一日を始められる環境を整えていきたいです。
時間がない・食欲がない朝に。食べやすいものを用意しておく
朝からしっかり食べるのが難しい日もあります。
そんなときは、無理に一人前を食べさせようとするのではなく、その日の子どもの様子に合わせて、食べやすいものを少量用意しておく方法もあります。
例えば、こんな組み合わせです。
| 子どもの様子 | 食べやすいものの例 |
|---|---|
| 飲み物なら口にできる | 牛乳、飲むヨーグルト、スープ |
| 少しなら食べられる | バナナ、小さなおにぎり、ヨーグルト |
| いつもより食欲がある | トースト、卵、おにぎり、みそ汁 |
大切なのは、毎朝同じ量を食べることを目標にしないこと。
まずは、子どもが食べられそうなものから取り入れ、少しずつ朝食の習慣につなげていきましょう。
また、朝の食欲がない日が続く場合は、単に「食べたくない」と片付けず、前日の夕食の時間や間食、就寝・起床時刻なども振り返ってみてください。
食欲不振が長く続いたり、体重が減ったり、元気がない状態が続いたりする場合は、生活習慣だけで解決しようとせず、小児科などに相談することも大切です。
朝食は、親が頑張って食べさせるものではなく、子どもが気持ちよく一日を始めるための習慣の一つ。
焦らず、その子に合った朝の形を見つけていきたいです。
朝ごはんを食べる習慣は、生活リズムを整えることから
朝ごはんを食べることは、子どもの健康を支える大切な習慣です。
農林水産省は、朝食を毎日食べることが、栄養補給だけでなく、体内時計を整え、生活リズムをつくることにもつながると紹介しています。
また、2024年度の全国学力・学習状況調査では、小学6年生のうち、朝食を毎日食べていると回答した割合は83.4%でした。一方、朝食を食べないことがあると回答した割合は6.3%でした。
朝食を食べる習慣は、家庭の生活リズムとも関わっています。
だからこそ、朝ごはんだけを切り離して考えるのではなく、
-
夜は何時ごろ寝ているか
-
朝は何時ごろ起きているか
-
夕食や間食は何時ごろか
-
朝の準備にどれくらい時間がかかるか
といった、生活全体を見直してみることが大切です。
ただし、朝食を食べる子どもほど学力や体力の平均値が高い傾向があるという調査結果は、朝食だけがその違いを生み出していると証明するものではありません。
食事、睡眠、運動など、日々の生活習慣をまとめて整えていく視点を持ちたいです。
朝ごはんを食べない状態が続くときは、医療機関への相談も
ここまで、生活習慣や朝の環境を見直す工夫を紹介してきました。
ただし、朝ごはんを食べない状態が続く場合、すべてを生活習慣の問題として考えるのは避けたいところです。
特に、次のような変化が見られる場合は注意が必要です。
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朝だけでなく、一日を通して食欲がない
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以前と比べて食べる量が明らかに減った
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体重が減っている、または成長が気になる
-
腹痛や吐き気、便秘などの不調が続いている
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元気がない、疲れやすい、顔色が悪い
-
食べることへの不安や強い抵抗が見られる
こうした様子があるときは、無理に食べさせようとせず、小児科などの医療機関に相談しましょう。
特に、体重の減少や成長の停滞、食べることへの強い拒否が見られる場合は、早めに相談することが大切です。
子どもの食欲の変化には、体調や心の状態が関係していることもあります。
「朝ごはんを食べない」という一つの行動だけで判断せず、子どもの様子を広く見ていきたいです。
朝ごはんを食べることより、気持ちよく一日を始めること
子どもに元気に学校へ行ってほしい。
成長期だから、栄養もしっかり取ってほしい。
そんな親の願いがあるからこそ、朝ごはんを食べない姿を見ると、つい心配になってしまうものです。
でも、朝ごはんを食べない理由は、子どもによって違います。
起きる時間が遅いのかもしれない。
前日の夕食が遅かったのかもしれない。
朝はまだ食欲が出にくいのかもしれない。
あるいは、朝の慌ただしさの中で、ゆっくり食べる余裕がないのかもしれません。
だからこそ、まずは「どうしたら食べやすくなるかな?」と一緒に考えてみたいです。
朝ごはんの量を増やすことだけを目標にするのではなく、夜の過ごし方や朝の時間の使い方を少しずつ整えていく。
その積み重ねが、子ども自身の生活習慣を育てることにもつながっていきます。
毎朝、理想どおりにいかなくても大丈夫です。
食べられる日もあれば、あまり食べられない日もある。
そんな日々の変化を受け止めながら、親子で少しずつ整えていけたら最高です。
朝ごはんを食べさせることだけに目を向けず、子どもが気持ちよく一日を始められる環境をつくっていく。
そんな視点を大切にしたいです。
参考情報
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農林水産省「令和6年度 食育白書・家庭における食育の推進」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/r06_minna/html/part4.html -
農林水産省「子供の基本的な生活習慣の状況」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/r6/r6_h/book/part2/chap1/b2_c1_1_01.html
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