「何度言ったら片付けるの?」
「出したら片付けてって、何回も言ってるよね」
気づけば今日も、
子どもが散らかしたおもちゃを、
親が片付けている。
そんなことはありませんか?
本当は、子ども自身に片付けてほしい。
自分でできるようになってほしい。
でも、何度言っても動かない。
すると、
「この子は片付けが苦手なのかな」
「自分から動く気がないのかな」
と、心配になってしまいますよね。
小1から中3までの子どもたちと
関わる中で、何度も感じたことがあります。
「片付けなさい」と言われても、
なかなか動けない子には、
その子なりの理由がある
ということです。
大人からすると、
「出したものを元に戻す」
それだけのことに思えます。
でも、子どもにとっては、
「何を片付ける?」
「これはどこに戻す?」
「どこから始めよう?」
「まだ遊びたいけど、
もう終わりにしないといけない」
と、いくつものことを
同時に考えなければなりません。
必要なのは、
叱って動かすことよりも、
「どうしたら、この子が自分で
片付けられるだろう?」
と考えてみること。
片付けやすい環境をつくり、
最初の一歩を小さくする。
そして、少しずつ自分に任せていく。
そんな関わり方が、
「片付けなさい」と言われなくても
自分で動ける力につながっていきます。
ここからは、
子どもが片付けられない理由と、
家庭でできる具体的な関わり方をご紹介します。
「片付けなさい」で動けないのはなぜ?
子どもが散らかった部屋を見ても、
なかなか片付け始めない。
そんなとき、
「やる気がないのかな」
と思ってしまうかもしれません。
でも、実は「片付けなさい」という指示が、
子どもにとっては大きすぎることがあります。
例えば、
机の上に教科書、プリント、鉛筆、消しゴム、
おもちゃなどがたくさん置かれていたとします。
大人なら、
「これは机の引き出し」
「これはおもちゃ箱」
と判断できます。
でも子どもは、
「これはどこ?」「これはどうする?」
と迷うかもしれません。
そして、考えているうちに、
別のおもちゃを見つける。
そのまま遊び始める。
結果として、
「いつまでたっても片付けない」
ということが起こります。
つまり、
片付ける気がないのではなく、片付け方が分からない。
そんな場合もあるのです。
学校でも「片付け方」が分かると動ける子がいました
学校でも、
授業の後や休み時間の後には、
片付ける場面があります。
「片付けましょう」
と伝えただけで、
すぐに動ける子もいます。
一方で、周りを見ながら、
何をすればよいのか分からず、
その場に立っている子もいました。
そんなとき、
「早く片付けて!」
と急かすより、
「まず教科書を机の中に入れよう」
「次に鉛筆を筆箱に戻そう」
と、一つずつ伝えると、
動き始めることがあります。
そこで感じたのは、
「できない子」なのではなく、「最初の一歩が見えていない子」がいる
ということです。
家庭でも、同じことが起こります。
子どもが片付けられない5つの理由
① 「どこから片付ければいいか」が分からない
散らかった状態を見たとき、
大人は全体を見ながら、
優先順位をつけることができます。
でも、
子どもにとっては、
物が多いほど、
「どこから始めればいいの?」
となりやすくなります。
そんなときは、
「全部片付けて」
ではなく、
「まずブロックを箱に入れよう」
と、最初の一歩を小さく示す。
一つ片付けば、
次の行動にも移りやすくなります。
② 「物の住所」が決まっていない
片付けようとしても、
「これ、どこに置けばいいの?」
となる家庭もあります。
おもちゃの収納場所が、
その時々で変わっていたり、
収納場所がいっぱいだったりすると、
子どもは迷います。
だから、
物にはできるだけ、
「戻る場所」を決めておく。
「ブロックはこの箱」
「ぬいぐるみはここ」
「学校のプリントはこの場所」
というように、
迷わず戻せる仕組みをつくることが大切です。
片付けの上手さより、
片付けやすい環境があるか。
そこも見直すポイントです。
③ 遊びを終えるのが難しい
子どもにとって、
遊びはとても楽しい時間です。
夢中になっているところで、
「はい、片付けて!」
と言われても、
気持ちがすぐに切り替わらないことがあります。
これは、
「言うことを聞かない」
というより、
楽しい活動から別の活動へ移ることに時間がかかっている
場合があります。
そんなときは、
「あと10分で片付けよう。」
「この遊びが終わったら片付けよう。」
と、終わりを少し前に伝えておく。
突然、「今すぐ片付けて!」
となるより、
心の準備がしやすくなります。
④ 物が多すぎて、片付ける場所がない
片付けようと思っても、
収納場所にもう物が入らない。
そんな状態では、
子どもだけで片付けるのは難しくなります。
「片付けなさい」と言う前に、
「そもそも、戻せる場所があるかな?」
と見てみることも大切です。
収納を増やすことも一つですが、
必要以上に物を増やさないことも大切です。
子どもと一緒に、
「最近使ってないものはどれかな?」
と見直してみる。
片付ける力だけでなく、
物を選ぶ力を育てる経験にもなります。
⑤ 「片付け=怒られる時間」になっている
毎日のように、
「片付けなさい!」
「まだ散らかってる!」
「何回言わせるの!」
と注意されていると、
子どもの中で、
片付け=怒られる
というイメージができてしまうことがあります。
そうなると、
「片付けなきゃ」と思うより、
「また怒られる」という気持ちが先に出てしまう。
もちろん、毎日忙しい中で、
何度も散らかされれば、
親のイライラ度もどんどん溜まっていく…
だからこそ、
叱る回数を減らすためにも、
子どもが自分で片付けやすい仕組みを先につくる
ことが大切です。
家庭でできる5つの関わり
① 「全部片付けて」ではなく、一つだけ伝える
「部屋を片付けなさい」
という指示は、
子どもにとっては かなり大きな課題です。
そこで、
「まず、床にある本を本棚に戻そう」
「次はブロックを箱に入れよう」
と、一つずつ伝えてみます。
最初の行動が分かれば、
子どもは動き出しやすくなります。
慣れてきたら、
「次は何を片付ける?」
と、子ども自身に考えてもらう。
少しずつ、
親の指示を減らしていきましょう。
② 「どこに戻すか」を一緒に決める
片付けが苦手な子には、
「ちゃんと片付けて」
より、「これはどこに戻したら分かりやすいかな?」
と聞いてみるのもおすすめです。
子ども自身が決めた場所なら、
覚えやすくなります。
「ここなら自分で戻せそう」
という場所を、
一緒につくっていきましょう。
③ 片付けの時間を決める
「散らかったら片付ける」
だけではなく、
毎日の生活の中に、
片付けるタイミングをつくる方法もあります。
例えば、
「夕食の前に5分」
「寝る前におもちゃを戻す」など。
毎回親が、
「片付けなさい!」
と言わなくても、
「この時間になったら片付ける」
という習慣につながっていきます。
④ 最初の一歩は一緒にやる
「自分でやりなさい」
と言うことも大切ですが、
最初から全部一人でやらせる必要はありません。
「一緒に始めよう」
と、親も一つだけ片付ける。
すると、
子どもも動き始めやすくなります。
大切なのは、
親が最後まで片付けてあげることではありません。
「始めるところを支える」
ということです。
⑤ 「早く終わったこと」より「自分で動いたこと」を認める
「今日は早かったね!」
も嬉しい言葉ですが、
それだけではなく、
「自分で片付け始められたね」
「どこに戻すか、自分で考えたね」
「最後まで自分でできたね」
と、行動の中身を見るようにしたいです。
子どもが育てているのは、
片付けそのものだけではありません。
自分で考えて、行動する力です。
「片付けなさい」を減らすことが、自立につながる
親としては、
「何度言えば分かるの?」
と思うことがあります。
でも、何度言っても変わらないのであれば、
子どもを変えようとする前に、
仕組みを変えてみる。
それも一つの方法です。
「何を片付ける?」
「どこに戻す?」
「いつ片付ける?」
「どこから始める?」
この4つが、
子どもの中で分かりやすくなっているか。
一度、見直してみてください。
そして、最初から完璧を求めなくて大丈夫です。
今日は、おもちゃを一つ戻せた。
明日は、自分から片付け始めた。
その小さな積み重ねが、
やがて、「自分で片付けられる」
につながっていきます。
片付けができる子にすることがゴールではありません
片付けができるようになる。
もちろん、
生活するうえでは大切な力です。
でも、子どもたちを見てきて、
それだけが大切なのではないと思っています。
片付けを通して育てたいのは、
「自分で考えて、自分で動く力」です。
散らかったものを見て、
「まずこれをやろう」と考える。
「これはここに戻そう」と判断する。
「あと5分で終わらせよう」と見通しを持つ。
そして、自分で行動する。
これは、学校生活でも、勉強でも、将来の生活でも、
必要になる力です。
だからこそ、
「片付けなさい!」
と何度も言うことだけが、
子どもを育てる方法ではありません。
片付けやすい環境をつくり、最初の一歩を支え、少しずつ自分に任せていく。
その繰り返しが、子どもの自立につながっていきます。
おわりに
毎日、子どもが散らかしたものを見ていると、
「どうして自分から片付けられないんだろう」
と思ってしまうことがあります。
でも、子どもが片付けられないとき、
「だらしない」と決めつける前に、
少しだけ、その子の目線から見てみてください。
何から始めればいいか、分からないのかもしれません。
戻す場所が、分からないのかもしれません。
まだ遊びたいのかもしれません。
片付ける量が、多すぎるのかもしれません。
そして、
「片付けなさい」と言われることに、
疲れているのかもしれません。
だから、
今日からできることを一つだけ。
「全部片付けて!」
ではなく、
「まず、これを一緒に戻そう」
と声をかけてみる。
その小さな一歩からで十分です。
片付けられる子を育てるのではなく、自分で考えて動ける子を育てる。
そんな視点で、
毎日の「片付け」を見直してみてはいかがでしょうか。
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