「やり方は分かっているはずなのに、動かない」
「説明すれば理解するのに、なぜか実行しない」
そんな場面が続くと、
親はつい、こんな不安を抱きます。
・怠けているのでは
・やる気がないのでは
・反抗しているのでは
でも実はこの状態、
理解や意欲の問題ではないケースがとても多いです。
鍵になるのは、
“行動化の最終段階”という視点です。
行動は「分かった」だけでは起きない
私たちはつい、
「分かる → やる」
という一直線の流れを想像しがちです。
けれど実際には、
行動までにはいくつもの段階があります。
大まかに言うと、
-
情報を理解する
-
目的をイメージする
-
手順を思い浮かべる
-
今やるかどうか判断する
-
体を動かす
この最後の④〜⑤で、
子どもはよく立ち止まります。
つまり、
「分かっているのにやらない」状態は、
行動直前で詰まっているだけ
という可能性が高いのです。
行動化を止める3つの見えないブレーキ
① 最初の一手が具体化されていない
「宿題やってね」
「早く準備して」
こうした声かけは、
ゴールは示しても、
最初の一動作が曖昧です。
・ノートを出す
・ページを開く
・鉛筆を持つ
このレベルまで分解されていないと、
脳は「まだ動けない」と判断します。
理解はできているのに、
スタートボタンが見つからない状態です。
② 行動に伴う“負荷”が大きすぎる
行動の直前、脳は無意識にこう計算します。
・どれくらい疲れそうか
・失敗しないか
・途中で嫌にならないか
この予測が重たいと、
ブレーキがかかります。
特に、
・完璧主義
・失敗経験が強く残っている
・疲れが溜まっている
こうした条件が重なると、
「分かっているけど、今は無理」
という状態になりやすくなります。
③ 切り替えコストが高い
遊びから勉強へ
休憩から作業へ
この切り替えには、
想像以上にエネルギーが必要です。
切り替えコストが高い子ほど、
・動き出すまでが長い
・始めればできる
・でも毎回時間がかかる
という特徴を持ちます。
これは意志の問題ではなく、
脳の使い方の個性です。
「やらない」は拒否ではなく“停止”
ここで大切なのは、
「やらない=反抗」
と短絡的に結びつけないこと。
多くの場合、子どもは
止まっているだけです。
・どう始めるか分からない
・負荷を感じすぎている
・切り替えられていない
この状態で
「なんでやらないの?」
と聞かれると、思考はさらに止まります。
問いが探索を遮断してしまうのです。
行動化を助ける家庭での関わり方
① 「やる?」ではなく「どこから?」
選択肢を
意志ではなく手順に向けます。
△「今やる気ある?」
○「最初に何を出す?」
これだけで、
行動化のハードルは下がります。
② 行動を“始まり”で区切る
終わりではなく、
始まりをゴールにします。
・5分だけ
・1問だけ
・ノートを開くだけ
始まれば、
続くかどうかは後で決まります。
脳に必要なのは、
「全部やる覚悟」ではなく、
最初の一歩の安全性です。
③ 動けた事実を言葉にする
結果よりも、
「動いた」こと自体を拾います。
・今、席に座ったね
・ノート開けたね
これは甘やかしではありません。
脳に
「動けた経験」を刻む作業です。
行動の途中に目を向ける
多くの悩みは共通しています。
・すぐ諦める
・感情が爆発する
・先延ばしになる
・切り替えられない
これらはすべて、
行動の途中で何かが詰まっている状態。
性格や努力の問題に見えても、
実際には
設計の問題であることがほとんどです。
まとめ:「やらない子」ではなく「止まっている子」
「分かっているのにやらない」
この言葉の裏には、
・分かっている
・やりたい気持ちもある
・でも動けない
という、
子どもなりの葛藤があります。
必要なのは、
叱ることでも、
気合いを入れさせることでもなく、
行動の最終段階を、そっと支えること。
〇 最初の一手を具体化する。
〇 負荷を軽くする。
〇 切り替えを助ける。
それだけで、
行動は少しずつ戻ってきます。
子どもは、
「分かっているのにやらない子」ではなく、
動けるところまで、あと一歩の場所にいる
だけなのかもしれません。
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