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小学生の「打たれ弱さ」は悪いことじゃない ~繊細な子の“回復力”を育てるマイクロレジリエンス~

「ちょっと注意されただけで泣いてしまう」
「友達に一言言われただけで、家に帰ってからも元気がない」
「失敗すると、なかなか立ち直れない」

そんなわが子の姿を見て、
「この子、大丈夫かな…」
「社会に出てから苦労しないかな…」
と、不安になるお家の方は少なくありません。

でも、ここで一つ大切な視点があります。

“打たれ弱さ”=ダメな性格、ではありません。

実はそれは、
・刺激に敏感
・感情を深く感じ取れる
・周囲の空気をよく察知できる

という脳の特性の裏返しでもあるのです。

問題なのは「傷つきやすいこと」そのものではなく、
傷ついたあとに、どう回復できるか

そこで注目されているのが、
マイクロレジリエンス(Micro-Resilience)
――「日常の中で小さく立ち直る力」です。


レジリエンスは「根性」ではなく「回復の技術」

レジリエンスという言葉を聞くと、

・強いメンタル
・へこたれない心
・何があっても平気な子

そんなイメージを持たれがちです。

しかし、心理学や脳科学の世界では、
レジリエンスは 「我慢」や「鈍感さ」ではない と考えられています。

レジリエンスとは──
ストレスや失敗を感じても、元の状態に戻る力

特に近年は、

「一気に立ち直る力」より
「小さく、何度も回復できる力」

が重要だと分かってきました。

これがマイクロレジリエンスです。

〇 落ち込んでも、5分で気持ちを切り替えられる
〇 嫌なことがあっても、その日のうちに少し回復できる
〇 完全に元気じゃなくても、次の行動に移れる

こうした“小さな回復”の積み重ねが、
将来の大きな折れにくさにつながっていきます。


繊細な子ほど「回復力」が育ちやすい理由

実は、HSP気質や繊細な子は、
マイクロレジリエンスを育てる土台をすでに持っています。

なぜなら、

・自分の感情に気づきやすい
・身体の違和感を感じ取りやすい
・環境の変化に敏感

という特性があるからです。

回復には、まず
「今、つらい」「疲れている」「悲しい」
と気づくことが欠かせません。

鈍感な子よりも、
実は繊細な子のほうが
回復のスタートラインに立ちやすいのです。

ただし一つ条件があります。

大人が「立ち直らせよう」と急がないこと

ここを間違えると、
繊細さは「自己否定」へと変わってしまいます。


「早く切り替えなさい」が回復力を奪う理由

親として、つい言ってしまいがちな言葉。

「いつまで気にしてるの?」
「もう終わったことだよ」
「そんなことで落ち込まないの」

励ましているつもりでも、
子どもの脳にはこう響きます。

「この気持ちはダメなんだ」
「感じちゃいけないんだ」

すると、
感情は処理されないまま内側に残り、
回復に余計な時間がかかってしまいます。

マイクロレジリエンスを育てる上で大切なのは、

感情を消すことではなく、通り抜けさせること。

まずは、
「そう感じたんだね」
「それはつらかったね」
受け止めること。

それだけで、
子どもの脳は回復モードに入り始めます。


家庭でできる「1日10秒」の回復習慣

ここからは、
今日からできるマイクロレジリエンス習慣を紹介します。

① 感情に名前をつける(10秒)

落ち込んでいるときに、
解決策はまだ不要です。

「それは悔しかったね」
「びっくりしたんだね」
「悲しかったんだね」

感情を言葉にするだけで、
脳の興奮は自然と下がります。

② 体を使った“超短時間リセット”

繊細な子は、
感情が体に残りやすいタイプ。

・深呼吸を3回
・肩をぎゅっとすくめてストン
・コップ一杯の水を飲む

たったこれだけでも、
自律神経は整い始めます。

③ 「少し戻れた」を一緒に見つける

完全に元気じゃなくてOK。

「さっきより声が出てきたね」
「今はここまでできたね」

回復の途中を認めることで、
子どもは「戻れる感覚」を学びます。

④ 親の回復を“見せる”

親が
「今日はちょっと疲れたから、深呼吸するね」
「今イライラしたから、少し休むね」

そう口にすること自体が、
最高のマイクロレジリエンス教育です。


回復力が育つと、何が変わるのか

マイクロレジリエンスが育ってくると、
子どもにはこんな変化が見られます。

・失敗を引きずりにくくなる
・感情爆発が減る
・「またやってみよう」が出てくる
・自分を責めすぎなくなる

これは、
自己肯定感の土台そのものです。

「強くなる」のではなく、
「戻ってこられる場所を知っている」。

それが、これからの時代を生きる子どもに
何より必要な力です。


まとめ:繊細さは、未来を支える力になる

打たれ弱い
「繊細すぎる」

そう見える子どもたちは、
実は感じる力・回復する力の原石を持っています。

必要なのは、
無理に鍛えることでも、
強くさせることでもありません。

〇 感じてもいい
〇 休んでもいい
〇 少しずつ戻ればいい

そう伝え続ける家庭の中で、
マイクロレジリエンスは静かに育っていきます。

今日うまくいかなくても大丈夫。
明日、ほんの少し戻れたら、それでいい。

その積み重ねが、
子どもの一生を支える“しなやかな心”になります。

焦らず、比べず、
一緒に小さな回復を重ねていきましょう。


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